旅立つまでの3日間
12月16日
退院して最初の二日間、12日(月)と13日(火)は追加処方された薬のおかげか状態は落ち着いているように思えた。
このまま薬が効いてくれて復活してくれるものだと信じていた。
亡くなる前日の14日(水)。
この日は1日在宅で朝から様子を見守ることができた。
16歳を迎えてから足腰の筋力は大分落ちてきてたが、咳とパンティングさえ出なければ年齢の割には本当に元気だった。
この年齢でこれまで一度もオムツに頼ったこともなかった。
午前中も自力でトイレまでちゃんと行ってシッコもうんPもしてた。
午後になり恐れていた咳とパンティングが再び出始めた。
追加された薬で症状が落ち着くものだと信じていただけにかなりショックだった。
西日がさすリビングで最後になったツーショット(click!)。
この光景を眺めながら『エルモサは絶対大丈夫!!』と心に強く思いながらも『心臓だからもしかしたら年内もつか分からない』とパパさんに心情とは逆の弱気なラインを送ってしまった。
パパさんからは『覚悟しておいた方がいいかもね』とのラインを受け取った。
それでもこの時の状態は入院前よりは深刻そうではなかった為、今日は大丈夫だと判断し、この日は病院に連れて行かなかった。
”夜のご飯”前に天井を見つめながら頭で弧を描くような仕草をしているエルモサを目にした。
今まで一度も見た事のない光景だったので、一瞬ドキッとした。
一時的に意識が遠退いたか視界が霞んだか本当のところは分からないが、きっと何かおかしい違和感を覚えていたのだろう。
パンティングが出始めてからもずっと食欲が落ちることはなかったのに、この日最後の”夜ご飯”だけ初めて残した。
食べたい気持ちはあるのに喉の奥に入っていかないようだった。
いつもは遅い帰宅のパパさんが前日とこの日だけは仕事の都合で早く帰れて19時過ぎには帰宅していた。
今思えば神様が家族水入らずの時間を与えてくれていたように思える。
おかげで就寝時間ギリギリまで二人揃ってエルモサに沢山のスキンシップをしてあげられた。
もちろんこれが最後のスキンシップになるなんてことは全く想像もしてなかったけれど。
兎に角エルモサを安心させようと話しかけたり撫でたり抱きしめたりしながら翌日病院へ連れていこうかと考えていた。
寝かしつける時にサークルの中に入っていくのをちょっと躊躇っているように感じたと後でパパさんが言っていた。
自分のベッドでいつもと変わらず寝入ったエルモサを確認した。
私達はエルモサと別れて自分達の寝室で寝てしまった。
まさかこの後永遠の別れがやって来るとは、その時知る由も無かった。
続く。